働き方

正社員契約を業務委託契約に変えたい

投稿日:2015年7月13日 / by

~仕事・働き方のエキスパートがズバリお応えします~

<質問>

「正社員から柔軟に仕事を請け負える契約に切り替えたい」

会社との契約を正社員から業務委託に切り替えてもらおうと思っています。他にも仕事を請け負いたいからです。これまで世話になっているので、金銭面でごねるつもりはありません。業務委託の厳しさはある程度分かっていますが、こういう提案に対して、企業はどう考えるものなのでしょうか。断られても仕方ないと思っていますが、企業にとって、こういう提案はどうなのか教えていただきたく思っています。(42歳会社員)

【回答】

「前例を調べ、なければ信用できる人に相談してみることが大切」

実際、独立起業した後、従前にお勤めだった会社と業務委託契約を締結し、仕事をもらうというのは決して珍しいとこではありません。独立起業した次の日から仕事があるというのは、精神的にも大きな安心材料になりますし、中には辞める前に取引先に働きかけて、仕事を回してもらう約束を取り付けてから辞めていく人もいます。実際に、ITや広告、出版等の業界ではよくあることではないでしょうか。会社は独立していく元社員の能力や働きぶり、得手不得手をよく知っているはずですから、ある意味で外注しやすいというメリットがあるのです。

但し、このようなこともその会社の体質や、その業界の慣習を踏まえて考える必要があります。中には独立していく元社員には仕事が回らないように露骨な嫌がらせをしたり、つぶしにかかったりする会社もあるようです。そしてまた、独立していく側も、従前お世話になった会社から取引先を奪ったり、立つ鳥が跡を濁してしまったりしては、その後に良好な関係を築くことはまず難しいでしょう。

そしてもうひとつ。あなたが独立起業したら、これまで培ってきた人間関係は多くの場合、役に立たないと考えた方がよいと思います。会社員と独立起業者では、周囲との付き合い方や人脈がまったく変わってきますし、反対に変わらないのであれば、それは独立起業者が起業者として成長していないと考えても差支えないかもしれないのです。

いずれにせよ、会社と自身の契約を正社員から業務委託に切り替える相談は、慎重に進めていかれるのがよいでしょう。前例があれば、調べてみてください。また前例がなかったら、いきなり人事部に相談を持ちかけるのではなく、プライベートでも懇意にし、信用できる上司や先輩に話してみるのもよいかもしれません。

万事が良好でありますように。


新井健一<回答者プロフィール> 新井健一
1997年4月、大手重機械メーカ入社。人事業務全般に従事。1999年10月、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG /あずさ監査法人)入社。 組織・人事及び業務改善に関わるコンサルティング及び教育に従事KPMGあずさビジネススクールにてシニアマネージャー、スクール長に就任。ビジネススクール責任者として事業経営の傍ら、コンサルタント、講師業務に従事。2010年11月、経営コンサルタントとして独立。東北六県を対象としたプロジェクトに従事し、仙台を拠点に活躍中。現在に至る。

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