働き方

蹴球女王・澤に学ぶ、女性がいつまでも輝き続けるために必要な4つのこと

投稿日:2015年12月11日 / by

20年以上トップレベルで輝き続ける秘訣とは

プロサッカー選手
澤穂希

女性活躍推進が声高に叫ばれている。追い風に乗るように輝きを放つビジネスウーマンもいるが,まだごく一部だ。一方、スポーツ界には、15歳から日本代表で活躍し、以降、現在までに史上初の6度のW杯出場を果たすなど、レジェントとして君臨する女王がいる。プロサッカー選手の澤穂希(37)だ。その功績が称えられ、このほど『2015年タニタ健康大賞』を受賞した。スポーツ界で20年以上トップで輝きづつける澤の“シャイニング長寿”のヒミツに迫る――。

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前人未到のW杯6度出場

小2からサッカーをはじめ、15歳で日本代表入り。以降全てのW杯で代表に選出され、結果を残している澤。これだけの期間、最高レベルに君臨し続けるだけでもすごいが、なによりも4年一度の最高峰の大会にことごとく選ばれ続けるコンディショニング能力の高さは、誰も追随できない領域といえるかもしれない。

一体その秘訣はどこにあるのか。その答えは、いたってシンプルだった。「健康でないと好きなことができない。だから、自己管理は気を付けていますね」。澤にとっては、現役プレイヤーとしての最優先事項がコンディショニング。全てをそこに注力し、そのための努力を惜しまない。それが、20年以上トップレベルをキープし続ける秘訣だ。

抜きん出た危機回避能力

極めてシンプルだが、この割り切り方が澤の真骨頂といえる。プレイヤーとしての澤は、持久力やスピード、ジャンプ力が人並み外れているわけではない。どれも平均的だ。それでも試合の中での力の入れどころ、抜きどころが抜群で、ピンチとなれば敵の攻撃の芽を的確に摘み取り、チャンスと見れば前線に飛び出し、得点も決めてみせる。必要な時に最大の力を発揮できる。だから、要所で並み以上のプレーが連発される。何が大事かを、場面場面で瞬時に見極める能力が、抜きんでているのだ。

選手としても、自身を冷静に俯瞰する澤は、その最優先をコンディショニングと見定める。そうなれば、行動も自然と自己管理へ向かう。食事の際は、食べる順番にこだわる。野菜をたくさん摂取する。30歳を過ぎてからは、疲労の蓄積を最小限に抑えるため、アフターケアにもたっぷり時間を割いている。筋トレもサッカーに不要な上半身は最小限に抑え、体幹やインナーマッスルなどを重点的に鍛える…。こうした無駄のない、小さな自己管理の積み重ねが、コンディショニング能力の高さにつながっている。

37歳という年齢は、もはや大ベテランの域だ。それでも、澤は現役を続ける。その理由は単にまだできるからだ。それが、状況を瞬時に把握する能力に長ける澤の嗅覚であり判断だ。だから、引き際は、前例や常識では測れない。澤本人にしか分からない。

現役を続ける上での美学

「今年1年はワールドカップもあり、いろいろ忙しく本当にあっという間でした。来年も健康でいられるようコンディションをしっかり整えたい。まだ伸びシロもあると思っている。現役でやっている以上、目標は高くやっていきたいですね」と澤は、直近のビッグイベント2016年のリオ五輪も貪欲に視野に入れた。現役=トップレベル。ダラダラ続けるつもりはみじんもない。それが、20年以上トップに君臨し続ける澤の美学だ。

どんなに上っても常に謙虚さを忘れない澤

どんなに偉人への道を駆け上っても常に謙虚さを忘れない澤

今年は結婚という人生の一大イベントもあった。サッカーだけに専念という環境とはいかない状況にある。それでも澤は「いろいろ忙しくまだ結婚式なども時間が取れそうにないが、現役であることを主人も理解してくれている」とあくまでサッカー最優先の環境を、うまく周囲の理解を取り付けながら自然体で確保している。こうした、自然と周囲のサポートを引き寄せる力も、澤の無意識ながら秀でた才能といっていいだろう。

輝き続けるための4つの極意

競技を始めた約30年前、女子サッカーはまだマイナーだった。兄と一緒に入団を希望したサッカーチームには入団を渋られた。だが、何とか仮入団すると、出場した試合でいきなりゴールを決め、正式入団を果たす。チームメイトも澤を「女子」という色眼鏡でみることがなくなり、対等に扱うようになった。その結果、澤はメキメキと上達を果たす。澤のサッカーにおけるキャリアは、まさに男性社会の中で女性が活躍するために必要な要素を全て備えたものなのだ。

何事もチャレンジする勇気を女性や青少年を与えことを評された(左は谷田社長)

何事もチャレンジする勇気を女性や青少年を与えことを評された(左は谷田社長)

女性だからと諦めない優先順位を明確にする周囲の支援をうまく獲得する。そして、どんなに偉大になっても常に謙虚さを忘れない。どれか一つでももちろん素晴らしいが、「長く」輝き続けるためには、全てが備わっていることがベストであることは言うまでもない。ともすれば女性は、優先順位をつけきれず、仕事以外も含め、全てに全力に取り組み、疲弊してしまいがちだ。その意味では、澤の真骨頂である、力の抜きどころ、入れどころをだけでも意識すれば、少しは気が楽になり、職場で力を存分に発揮できるようになるかもしれない。


【タニタ健康大賞】
2004年に創立60周年を迎えたタニタの記念事業の一環として創設された。日本人の健康づくりに貢献した個人または団体を顕彰する。トロフィーおよび副賞50万円が贈呈される。澤は、15歳で日本代表に選出以降、旺盛なチャレンジ精神で日本サッカー界をリード。2011年のW杯ドイツ大会では日本を初優勝に導き、FIFAバロンドールを受賞するなど、長年に渡り、トップレベルで活躍を続けている。こうしたファイティングスピリットやコンディショニングに対する取り組みが、女性はもとより青少年にも影響を与えたとして同賞に選出された。

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