働き方

瓦版選定 2015働き方10大トピックス【1位~5位】

投稿日:2015年12月25日 / by

◇1位から5位◇

2015年も残りわずか。働き方で振り返る2015年。前日の6位から10位に続き、きょうはいよいよ1位から5位の発表です。新しいカタチへシフト着実に進んでいることを印象づけるトピックが、上位に並びました。

1位:健康経営

2015年、新たなトピックとして働き方に最も影響を与えたのは「健康経営」です。社員の健康維持は支出でなく投資という考えをベースに、社員の健康管理を経営戦略にまで結びつけよう、という経営手法です。

社員が大切、社員は家族、人材は人財という言葉はこれまでもありました。そうした企業は、給与面や福利厚生など、手厚い待遇を用意し、社員を大事にしてきました。しかし、景気が傾いてくると、そうしたコストは企業の大きな負担となり、やがて削られていきます。そうなると、社員もモチベーションを落とし、売り上げも低迷していきます。

当然のサイクルですが、こうなると、社員は気付きます。「結局会社は俺たちのことなんか考えていない」。市場原理上仕方のないことですが、厳然たる事実です。ブラック企業の横暴ぶりが目立ったことも追い風になったといえるでしょう。

健康経営は、企業が社員のことも考え、売り上げも安定させる、まさにウィンウィンの経営手法なのです。もちろん、経営戦略として、社員の健康が組み込まれる以上、社員は自己管理をキチンとする必要があります。しっかりとツールを活用し、日々の健康をチェックし、万全のコンディション作りに努力しなければなりません。もはやそれが業務の一環のなのですから…。

5月には大手企業が合同でウェルネス経営導入を宣言

5月には大手企業が合同でウェルネス経営導入を宣言

やや息苦しいさを感じる人も出てくるかもしれませんが、この手法では、メンタル疾患や働き過ぎの抑止効果が期待でき、社員にとっては総じてマイナスではないでしょう。2015年5月には、日本交通、吉野家ホールディングスなどが、最高健康責任者CWO制度の導入を発表し、ウェルネス経営を導入することを宣言。その後、ウェルネス経営協議会も設立され、その輪は拡大しています。

経営に連動させるという点で、ルールや制度による社員のやりがい向上施策とは一線を画す「健康経営」。今後、健康に限らず、より良い職場づくりへの取り組みは、一過性のものから永続的なものへと深化。その先駆けが、この「健康経営」といえるかもしれません。

2位:女性活躍推進法

女性活躍が叫ばれる中で、ついに実現した女性活躍推進法。成立によって、何かが劇的に変わるワケではないでしょうが、また一歩、女性が社会で活躍する土台構築が前進するトピックといえるでしょう。

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ただし、単なるアドバルーンで終わる可能性も高そうです。というのは対象が301人以上の企業という点がひとつ。もう一つがその内容です。

まず事業規模ですが、301人以上となると、多くはすでに育休や産休制度が整っています。にもかかわらず、うまく機能していない。その原因は、社風や男性の意識にある場合がほとんどです。さらに罰則規定もありません。

内容についても、女性の活躍状況の把握・課題分析、行動計画の策定・届出、情報公開などとなっていますが、報告書のための活躍実績つくりが横行するのは目にみえています。女性が主体に活動してこそ、ホンモノの輝きが生まれます。このままでは、これまで通りのカタチだけの女性活躍が、一時的に盛り上がり、萎んで終わる可能性が高いでしょう。

“資生堂ショック”では時短社員とフルタイム社員の不公平が問題になりました。多様な人材がひとつの職場で働けば、不平等が発生して当然です。その不満をなくすのが互いの思いやりです。自分もいずれ子育てをする。最低限そうした気づかいがあれば、「不平等」といった、次元の低い不満は発生しないハズです。男性も巻き込みながら、そうした風土をどう築いていくか…。それが2016年以降の女性活躍の真の課題といえるでしょう。

3位:ペッパー就職

2015年、ペッパー君がついに職場デビューを果たしました。愛くるしい表情と動きのペッパー君は、ちょっとお茶目で空気を読まないところもありますが、いつも周囲には人だかりができる人気者。もちろん、不平不満は一切言いません。24時間連続勤務だってへっちゃらです。それでいて、時給は1500円。経営者にとっては、最高に理想的な人材です。

「僕に何でも任せなさ~い」といわんばかりの活躍ぶり

「僕に何でも任せなさ~い」といわんばかりの活躍ぶり

一消費者としては、店頭でコミュニケーションする分には、むしろ、売り付けようとする店員さんよりよっぽど楽しいペッパー君。一方、職場での“ライバル”という視点では、もはや無視できない存在になりつつあります。その意味で、ペッパー君の職場デビューは、今後の働き方を見通す上で、クールに構える必要があります。

いずれ、自分の仕事も奪われる――それくらいシビアにペッパー君の職場進出を捉えておく必要があるということです。もう少し踏み込んでいうと、これならペッパー君にはできない、これはペッパー君の方が得意だ、そうした視点を常に持ち、日々の業務に向き合う必要があるということです。そうでなければ、気が付けば、その座をロボットに奪われかねません。日々なんとなくルーティンワークをこなしているあなた、5年後には、職場での居場所がなくなりますよ…。

4位:“正社員”化加速

2015年は、パート・アルバイトの正社員化が目立った1年となりました。政府の後押しもあったにせよ、ユニクロなどは、転勤のない地域正社員というカタチでスタッフをほぼ全員を正社員化するなど大盤振る舞いでした。

理由はハッキリしています。人口減少時代における人材確保です。もともと、決してホワイトはいえない職場が多いサービス業。それが有期雇用では、モチベーションが続きません。ならば、永年雇用で忠誠心をもって、安心して、しっかり長く働いてもらおうということです。ユニクロはさらに短時間正社員や週休3日制を導入するなど、働きやすさに重点を置きました。“陰のブラック企業”とささやかれたこともありましたが、もはや表面上は立派なホワイト企業です。

1億総活躍社会、という文脈にもフィットしたこうした流れは、今後も加速するでしょう。一方で、人件費負担の増大によるひずみが、どこかにでてこないか、注意深く見守る必要はあるかもしれません。

5位:IoTが加速させる人材流動化

今年、数多く耳にした言葉の1つがIoTでしょう。このIoT、働き方の変革と大きくリンクしています。なぜなら、既存のサービス・製品にネットの力を注入し、新しい価値を生み出すのがIoTだからです。家電とネット車とネットなど、これまでは全くといっていいほど接点のなかった異業種間交流がこれから必須の潮流になる。つまり、正社員という縛りが、ネックになりかねない時代へと向かっているということです。

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自動車とネットの融合など、IoTが産業構造に与える影響は甚大だ

6位の企業間の壁崩壊と深くかかわりますが、これからの時代はもはや所属企業で業務をすることよりも、他社の人材とプロジェクト単位でつながる機会が増大する。その“震源”のひとつが、IoTというわけです。その意味では、現在正社員として業務に励んでいる人も、既存のサービスに付加価値を与えられるまでに得意分野磨き上げ、そうしたプロジェクトで活躍できる発想や知識、スキルを身に付けておく必要があります。逆にいえば、それができなければ、残念ながら明るい未来はない、ということがいえるかもしれません…。

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