働き方

定年後、路頭に迷わないための5つのヒント

投稿日:2015年4月8日 / by

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定年破産で苦しまない処方箋

「定年破産はこう防げ!」

人事・労務編集担当

「定年」の概念が大きく変わりつつある。60歳というラインはもはや形骸化。<元気なうちは働き続ける>、が、今後はスタンダードとなる。「定年破産はこう防げ!」(かんき出版)を出版した社会保険労務士の資格も持つ、『有限会社 人事・労務』の編集担当者に、60歳以降、路頭に迷わない働き方のヒントを聞いた。

定年破産を警告する理由とは

「定年破産」。なんとも衝撃的な言葉だ。かつて、定年後といえば、退職金と年金によって悠々自適な生活を送れるイメージが強かったが、もはや風前の灯といえる状況。理由は、言うまでもなく年金問題だ。

すでに知られているように、年金が潤沢に支払われる層は年々減っている。なくなることはなくとも、十分に生活していくとなると心もとない。そうしたリスクを回避する最もシンプルな策。それは、いわゆる「定年」を超えても働き続けることだ。人口減少に伴い、社会でも多様な人材の活用の重要性が叫ばれ、労働力としてのシニア層の捉え方も着実に変化している。

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山中麻衣子氏

「これからの社会において、多様性(ダイバーシティ)こそが重要だと弊社では考えています。多様性は組織に活力を与え、生産性の向上にもつながります。今回の本は、分かりやすく高齢者のお金の危機を主に書いていますが、労働市場全体の問題のひとつとして、社会全体で高齢者雇用の重要性や自分自身が定年後もイキイキと働くにはどうしたらよいのかを考えるきっかけにしたいという思いがありました」と山中麻衣子氏は出版に込めた狙いを明かす。

セカンドライフを充実させるために重要なタイミング

例えば、いま50歳の会社員が何も考えずに定年を迎えるのはあまりにもリスキーだ。なぜなら、継続雇用される保証はなく、年金もあてにできず、退職金もどれくらいもらえるか分からない。だからといって、転職を考えるにしても、年齢的にそう簡単にはいかない…。深刻な高齢化で先の読めない日本経済にあっては、定年後のことは、早く考えても早過ぎることはないのだ。しっかり考えることで、リスク回避に留まらず、より充実したセカンドキャリアの道も拓けてくる。

「50歳まで会社員としてやってきた人が、その時点で定年後も雇用延長などでもうひと働きすると決めたとして、どこにモチベーションを持つかは簡単ではありません。ですから、できるだけ早い段階で自分は何ができるのか、あるいは何が好きなのかといったことを考えてみることが重要になると思います。かつてに比べれば転職市場も高齢化はしていますから、何か持っていれば、道はあります」と松木将企氏はアドバイスする。

第二の人生で路頭にまわよないためのポイント

富への道は本当に閉ざされているのか…

第二の人生の扉の先を暗くするか明るくするかはあなた次第…

“第二の人生”をどう歩むのか…。よほど潤沢な資産がない人以外は、隠居生活など夢のまた夢。多少の余裕があっても、こうしたご時世だけに働けるなら働き続けるに越したことはない。そのために、基本的なこととして、押さえておくべきポイントはいくつかある。

定年後も同じ会社で働き続ける場合は、その契約形態、報酬、保険などは必須の知識だ。退職する場合は、退職金の額やもらい方もライフプランを立てる上で重要となる。長年会社員を続けていると、何事も受動的になりがちだ。だが、例えば再雇用の場合、いったん退職をしてから、という手続きを踏むことを考えても、それまでの実績がリセットされると思っておいた方がいい。つまり、継続雇用だとしても、働く側は会社に頼るという意識を捨てるくらいの覚悟を持つ必要がある。

キャリアの棚卸で整理するやりたいこと

一方で、会社側にとって、シニア社員は貴重な戦力であることに代わりはない。長年培った知見やスキルは、何物にも代えがたいからだ。だからこそ、自身が会社に対し、何ができ、どんな形で貢献できるのかをハッキリと提示できなければ、雇用関係はどうしてもギクシャクしてしまう。

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松木氏

「なかにはキャリアの棚卸をしてみたものの、本当に自分には何もない、という人がいるかもしれません。でも、別に仕事でなく、趣味関連のモノでもいいと思います。そうしたことも仕事に何らかの形でつながってくるわけですから」と山中氏は助言する。

定年後を人生のセカンドステージというが、あえて新たな世界に飛び込む選択肢も当然ある。そのためには、「ワーク」だけでなく「ライフ」の充実も必要となる。両方の人脈があれば、思わぬ仕事に出会う確率も高まる。人材の多様化が叫ばれる中、シニア層もしっかりとそこに含まれている。もはや、定年=引退という概念は過去形になりつつある。まさに第二のキャリアのスタートラインなのだ。

残念ながら、金銭面では多くの人にとって定年後の見通しは決して明るいとはいえない。だが、働き手としてのシニアのフィールドは、着実に広がっている。後ろ向きになる必要はない。だからこそ、あえて「定年破産」という衝撃の事態をできるだけ早い段階から意識し、会社員としてのキャリアを整理整頓。輝く高齢人材として活躍できる準備をしっかりとしておくことが、今後ますます重要になる。


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[定年破産はこう防げ!]

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【有限会社人事・労務】

現在社長の矢萩大輔氏が、1995年に26歳の時に東京都内最年少で開設した社労士事務所が母体となり、1998年に人事・ 労務コンサルタント集団として設立。これまでに400社を超える人事制度・賃金制度、ESコンサルティング、労務管理などのコンサルティング実績がある。2004年からは、業界の中でもいち早くESを軸とした組織活性化コンサルティング、クレド作成、ES向上型人事制度の構築などを提唱し、多くの導入企業から高い評価を得ている。近年は組織の社会性戦略に基づいた組織開発に力を入れている。「社会によろこばれる会社の組織づくり」をコンセプトにSS(社会的満足)の視点も加えたソーシャル・コンサルティングファームとして企業の社会貢献とビジネスの融合の実現を目指している。

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