働き方

シニア社員の定年以降をどう考えるのか…

投稿日:2015年6月11日 / by

高齢社会の理想の働き方(2)

sinior02これまで、企業には「60歳」というラインがあった。「定年」だ。その昔は55歳だったが、高齢化もありズルズルとずれ込んでいる。このラインが、65歳、そして70歳になることが確実となっている。“生涯現役”という言葉も現実味を帯びている。原因は、高齢層増加による年金のパンクだ。年金が十分に払えないから、出来るだけ働きましょう、というワケだ。随分以前から分かっていたことだが、いままさにそのツケを払う時に直面している。

企業にとって、これほど迷惑な話はない。長らく「終身雇用」を謳ってきたが、それは「60歳」というラインがあったから。伸びに伸びて仮に70歳となれば、人件費負担は膨大なものになる。素直に受け入れることは到底できない。だが、そうしなければ、人員不足になるリスクもある。企業にとって、これから長らく、なんとも悩ましい状況が続くことになる。

シニア社員への社長からの突然の通告

「これからどうする?」。ある企業で、社長が定年目前の60歳社員を呼び出し、問いかけた。どうみても肩叩きだ。ベテラン社員は「えっ」と耳を疑ったという。まさか自分がこんなことになるとは…。実力を過信していたわけではないが、十分に戦力として機能している自負はあった。一気に血の気が引き、背中を脂汗が流れた。一瞬、絶望的な気分になった。だが、話を聞けば、リストラ通告ではなかった。社長直々の新事業開発の提案。60歳という区切りのタイミングに、あえて新しい提案を社長が投げかけたのだ。

本来なら、社員契約を終了し、契約社員へ移行するのが同社での流れ。なぜそれをこんな形にしたのか…。社長にはジレンマがあった。「高齢社会において、企業はシニア人材の問題を無視するわけにいかない。シニア人材も企業もウィンウィンになれなければ日本社会に未来はない」。そうした危機感が、社長を突き動かした。うやむやにすることも可能だったが、あえて“高齢社員問題”に向き合い、その解決にベテラン社員とともに臨むことを決断したのだ。

この事例から分かるように、シニア人材の処遇問題は、シニア人材各個人だけでなく企業の問題でもある。個人はともかく、企業側が問題をスルーすると、高齢社会の末路は悲惨なものになりかねない…。目を向けたくはないが、誰かが向けなくてはいけない。その意味では、同社のシニア人材への向き合い方は、大きなチャレンジへの序章といっていいだろう。(第3回へ続く)。

第一回→ シニア人材をスムースに活用する妙案はあるのか

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