働き方

定年シニアの可能性は社外にあり

投稿日:2015年7月9日 / by

シニア人材が3K職場で脚光を浴びる背景

bargue溢れるシニア人材を持て余す企業が少なくない中、純粋にシニア人材が持つ安定感に着目し、戦力として積極採用する事例も増加傾向にある。特に顕著なのが、接客業だ。3Kと呼ばれる厳しさからの人材難もあり、需給ニーズがマッチすることも後押しとなっている。

モスバーガーでは、積極的にシニア人材を採用。真面目で客の反応が良いので、安心して働いてもらえることが大きな理由という。店員の高齢化で、高齢者の客が増えるという副産物もあるという。もともとは人手不足解消の苦肉の策だったそうだが、やはり豊富な経験を持つシニア人材の価値は侮れない。

ペッパーフードサービスは、高齢のコック経験者を優先採用する求人を行っている。ステーキ専門店で品質にこだわることから、熟練技術者を必要とするためだ。もっとも、シニアということを考慮し、仕事は単純なものに特化させ、短時間勤務も可能とするなど、高齢者が働きやすい労働環境には十分に配慮する。

採用におけるキャッチコピーは「現役復帰しませんか?」、「さぁ! あなたの出番です」としており、リタイアした人材のやる気スイッチをビンビンと刺激している。同社の創業社長である一瀬氏が71歳で現役のコックとあって、同世代のリタイア組にとっても大いにやる気が刺激される状況といえる。

使い方次第で、若者以上に活躍が期待できる有望人材

BOAは、社会人OBやアクティブシニアが子供と関わる職業として「グランドシッター」を養成。保育園での保育士不足などの課題に対し、シニア人材の活用による対処を進める。シニアから孫へ、日本の文化や遊びを伝える役割も担えるため、次世代育成や地域社会への貢献という側面でも大いに活躍が期待されている。

銀座セカンドライフは50代からの起業支援を行う。豊富な実務経験の中で、すでに多くのノウハウやスキル、ネットワークを獲得している点に着目し、触媒として、その背中を押す。グローバル顧問は、シニア、とくに上場企業役員OBや海外ビジネスエキスパートが持つグローバルネットワークやビジネスノウハウを活用した経営コンサルティングサービスで、まさにベテランのノウハウやスキルを社会に還元するシステムだ。

雇用主として、企業がシニア人材をみれば熟練技術こそあれど、体力や最新技術では若者にかなわない部分も多いかもしれない。報酬も決して安くはない。だが、そうした人材も一歩社外へ目を向ければ、活躍の場は大きく拡がっている。

定年を延長し、静かに残りのキャリアを歩んでもらうのもいいが、実は新たな道もしっかりと広がっている。企業がそうした方向へも目を向けることはもちろん、働く側もプライドや守りの姿勢に固執しない意識変革をすることで、その可能性はグッと広がる。その意味では、仕組みではなく、シニア自身が、イキイキと働ける社会構築のカギを握っているといえる。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について