働き方

社会シニア化でイキイキするために必要な発想

投稿日:2015年9月9日 / by

『新しい働き方の教科書』<Lesson2>

少子高齢化はシニアを不要にするのか…

sinior001少子高齢化は、当然ながら企業の人員構成にもそのまま影響する。若者が少なく、高齢層が多い。これ自体は問題ではない。だが、年功制によって、人件費が年々増大。その分、売り上げ貢献も増えればいいが、なかなかそうもいかない。高齢層の出来が悪いというわけではないにしても、さすがに若者のような爆発力は期待できない。従って、見合った売り上げを期待するのは簡単ではないということだ。

大企業の大量リストラの対象が、40代以上という露骨なケースも目立ち始めている。これは、上記のように高齢層が企業に大きな負担となっていることを如実に示すトピックといえるだろう。不幸なのは、高齢層には何の非もないということだ。家庭を顧みず、会社に身を捧げ、売り上げにも貢献してきた。しかし、給与体系によって、一番活躍した時の給与は、貢献度に見合わないよう設定。年を重ね、ようやく見返りを得る時が来た--。そんな矢先にリストラ通告。これでは、あまりに不遇だ。

年金問題は、そんな高齢層にダブルパンチで襲い掛かる。リストラ通告を「受けてもいい」。最後の務めとして、そう思う気持ちがあったとしても一方で年金不安がズシリとのしかかる。少子高齢化が、特に高齢層にもたらす不幸の連鎖は、あまりに非情だ。国に文句のひとつも言いたくもなろう。だが、残念ながら、ほぼ無意味だ。ずっと以前からこの状況は予測できた上でのいま、だからだ。

定年制が事実上崩壊する一方で、シニア層は年金問題により、事実上、生涯現役を強いられる。何というねじれ現象だろう。こうした状況にあっても企業はシニア層に対し、「できればやめてもらいたい」のが本音。どうしてもシニア層に大化けが期待できないからだ。さらにいえば、これまでの給与体系では、もはや会社が回っていかないからだ。

不条理が押し寄せるシニアが持つべき発想とは

これでは、シニア層とて頑張る以前に不安しか頭をよぎらない。「なぜこんな目に合うんだ…」。そう思う中高年が大量にいても不思議はない。だが、残念ながら、それは変わった環境を嘆いているに過ぎない。「環境が変わったのは俺のせいじゃない!」。そんなことを言っても何の前進もない。進化論では、こう言われている。<進化したものでなく、環境に適応したものが生き残る>。

シニア層が環境に適応するとはどういうことか。それはできる限り働き続けることだ。いまいる会社で就労継続するのがベターかもしれないが、嫌なら何もしがみ付くことはない。環境変化に対応した求人も増えている。さすがに大企業ということはなかなか難しい。飲食、介護、建設など、人手不足の業種が主流だ。それでも週3日勤務や時短勤務など、シニアの体力に配慮した労働条件を提示しているものが多く、変なプライドさえ捨てれば、無理なく働き続けられる仕事はいくらでもある。

興味深いデータもある。働き続けているシニアの方が、健康寿命が長いというものだ。さらにいえば、リタイアして悠々自適の生活を送っても、1年もすれば不安が頭をもたげるという。「こんなことをしていていいのだろうか…」。サラリーマン生活が染みついた悲しい性かもしれないが、実は人間としての本能なのかもしれない。無理なく、自分のペースで働く。そうすることで、シニアは健康をキープし、そして収入も得る。こうした発想が浸透することで、高齢社会もまんざらでない環境へとシフトしていくはずだ。

◇ポイント

 【下山の仕方を心得れば、“生涯現役”も人生の潤滑油になる】

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