働き方

なぜ人並み働くことで満足なのか…【瓦の目】

投稿日:2015年7月10日 / by

過半数の新入社員が「人並みに働ければ十分」

公益財団法人日本生産性本部「職業のあり方研究会」(座長 岩間夏樹)と、一般社団法人日本経済青年協議会は、平成27年度新入社員2,026人を対象にした「働くことの意識」調査結果をとり纏めた。それによると、「人並みに働けば十分」が過去最高(53.5%)になったという。これはどう考えればいいのか。

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ズバリ言えば、「リスクを背負いたくない」ということだろう。今年の新人は比較的、就活はラクだったハズだ。苦労少なく、ほどほどの会社に席を確保できた。だから、無理をしてそれを手放すようなことをすることもない、という心理なのだろうか…。執着心というのは、道のりが困難なほど強まるので、比較的スムースな就活でキバを抜かれてしまったのかもしれない。

当然ながら、同調査での社長志向も専門家志向も過去最低水準という結果になっている。なんとも平穏なことである。もちろん、そうした傾向を否定する気はない。ただし、嫌なデータがあることも記しておく。この調査を翻り、それまでの最低は平成2~3年。バブル経済末期の調査時だ。その当時のいわば“無気力”世代はいま、リストラの嵐に見舞われている。これは決して偶然ではないだろう。

企業がいま、本当に求める人材とは

企業はいまこそ、人並み以上に頑張る野心ある人間を必要としている。成熟期にある日本で、ほどほどにやる人間ほど、不要な人材はいない。斬新な切り口で革新をもたらすような尖った人材こそ、いま、企業が求めている。面接ではそうしたアピールをしていたのか、面接官が「リスク」をとらなかったのか…。いずれにせよ、この調査結果は、さみしいものといえるだろう。

社会人のスタート時の思いというのは、非常に重要だ。なぜなら、明確な目標があれば「人並みに働けば十分」などとはまず思わないからだ。途中挫折があったとしても、初めにしっかりとした志があれば、そこへ立ち返れることもできる。働いている過程で、目標が生まれるという考えもあるだろう。だが、現実には日々忙殺され、やりがいを見いだせずに離脱してしまう若者が、統計上は10人に3人はいる。

「人並みに働ければ十分」。そう思うということは、就活を終えた時点で一息ついているということなのだろう。当たり前だが、就活はあくまでプロセスに過ぎない。何をしたいか、なにをなりたいか…。できるだけ早い段階から、そうした思考を持って、そこを目指す努力をしなければ、働く楽しみや醍醐味を生涯知らずに社会人人生を終えてしまいかねない。最低でも40年以上という長い道のりだが、ぼんやりしていると、あっという間に無駄に時間が流れていく--。

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