不況余波で増えた社会人の意外な副業
社会人が“副業”として食品治験を活用している実態が明らかになった。臨床試験の受託業務を行う(株)ヒューマ(東京都港区、三原酉木社長)が、アンケート調査を行った。
調査は、同社が運営する治験情報サイト「ボランティアバンク」の会員を対象に2013年7月30日~8月1日に行われた。結果は、治験参加者の内、社会人参加者が72.7%を占めた。
同社によれば「治験は新薬(薬)以外にも、食品や美容品にも必要になる場合がある。比較的時間の都合がつきやすいこれら食品・美容品治験は社会人参加者が中心的になっている。主な参加理由は『金銭面』が多く、単価は高くないが、手ごろにでき、新薬治験ほどの危険性を感じない点で副業として魅力的な選択肢となっているようだ」と分析している。
アベノミクス効果は、叫ばれながらも実感のない、“エア効果”状態。そうした中で、社会人にとっては、増えない収入の補てんに、何かと都合のいい治験が“副業”として有効活用されているようだ。
調査では、金銭面に次ぐ参加理由として健康管理・向上、疾患治療・改善が続いており、健康管理との一石二鳥も活用における魅力になっているといえる。
ちなみに食品治験による謝礼金は、1回の来院につき、7,000円から1万円程度が一般的。病院にいくだけといえば、“おいしいバイト”といえるが、食事制限や日々の生活状況の日誌記入など、守るべき制約も多く、総合的にみると決して高額とはいえない。
それでも社会人治験参加者の97%がまた参加したいと回答しており、このご時世ではかなり魅力的な副業のようだ。まさに“身を挺して”のアルバイト。内容は過酷ではないとはいえ、なんだか涙ぐましい社会人事情が透けてみえるような調査結果ではある。