
Vol.4 新しい働き方導入への課題
新しいが故の“新しい課題”
新しい働き方では、時間と場所の概念が基本なくなる。いつでも、どこでも仕事ができることにより、より効果的な業務への取り組みが可能となる。一方で、より自主性や主体性が重要となり、その上でのマネジメントや評価法などが、“新しい課題”として浮上してくる。
まず、大きなところでは、新しい働き方を全社員に導入すべきなのか、という課題がある。業種によっては、導入しない方がいい場合もあり、そこは、特性を見極めて導入する必要があるだろう。個々の社員についても、全社員へ無条件に導入ということは現実的でない。上司の目から離れると、どうしても力抜いてしまうタイプも存在するからだ。その辺りは、明確なルールをつくり、フィルターにかけた上で導入を決めるのがベターといえる。
マネージャーもみえない部下をどう評価するのか、という課題がある。同じ空間に居れば、仕事ぶりや雰囲気である程度の判断は可能だが、離れていると成果物が大きな評価材料となってしまう。それとて、明確な基準が難しく、公平な評価をするための可視化が必要となる。
そしてなにより、大きな課題といえるのが、セキュリティについてだ。オフィスでの厳格管理でなく、各社員が自在に動き回るため、情報が野放し状態になる。このあたりは、データをクラウドへ移管することでより安全になるとの説もあるが、万全とはいえない。どんな形式でも事故の100%撲滅は困難だが、二重三重の対策で最善を尽くす必要はある。
課題克服とメリット増大の両輪が重要
時間の概念がなくなることは、労働時間の長期化を助長するリスクもある。オフィスならタイムカードの打刻で物理的に時間管理が行われるが、リモートワークをベースにすると、出勤出社を告知はできるが、業務が残っていれば、そのまま続けることは簡単だ。PCの使用履歴で確認はできるものの、回避する手段はいくらでもある。
ワークスタイルが、〈いつでも、どこでも〉にシフトする以上、単に仕事をする場所が会社でなくなるだけでは新しい働き方とはいえない。働き方がより効率的になり、浮いた時間をいかに有効に顧客との時間へ回すことができるのか。このあたりも新しい働き方を導入する上で、初めからセットで考えておく必要はあるだろう。
上記以外にも課題はいくらでもあるが、大事なことは新しい働き方が、企業にとっても、社員にとっても、そして社会にとってもWin-Winとなることだ。そのためには、大前提としてまず、従来の働き方の悪い部分にしっかりと目を向け、より良い働き方を実現するために価値観や意識を刷新することが重要となる。