働き方

働き方の動向に関わる知っておくべき3つのトレンド

投稿日:2015年12月21日 / by

リクルートが発表した働き方の最新トレンド

リクルートホールディングスはさきごろ、グループ各事業の「2016年のトレンド予測」を発表した。領域は、「美容」、「アルバイト・パート」、「飲食」、「社会人学習」、「進学」、「小・中学生学び」、「住まい」の7つ。瓦版では、働き方につながる「アルバイト・パート」、「社会人学習」、「進学」の3カテゴリーに注目し、その予測から2016年の働き方への影響を展望する。

アルバイト・パート領域のキーワードは「多国籍スクラムバイト」

「アルバイト・パート」領域が2016年のトレンド予測でキーワードに掲げたのは「多国籍スクラムバイト」。2015年ラグビーW杯にあやかってのネーミングだが、まさにその名の通り、多国籍のスタッフがそれぞれの強みを活かし、ラグビーのスクラムのように力を合わせ、シナジーが生まれる職場ということだ。

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パート・アルバイト領域の2016年トレンドを解説する宇佐川氏

解説したジョブズリサーチセンター長の宇佐川邦子氏は「訪日外国人が増加し、リピーターや個人旅行が増える中、自分の興味で自由行動する訪日客に対し、ニーズを深く理解した接客・サービスが必要になる。訪日客のニーズを知る外国人スタッフは、日本人スタッフと力を合わせることでシナジーが生まれ、サービスの質が高まることにつながる」と説明した。

飲食を中心としたサービス業は、慢性的な人手不足に陥っている。人手不足を解決するための外国人活用ということ以上に、「質の向上につながる」という点が重要なポイントといえる。この流れは、人口減少、グローバル化の進むあらゆる職場で当然、想定できる展開で、今後の職場の多国籍化とその順応法の事前調査には最適の“素材”といえそうだ。

これからの育休は「育自休暇」

「社会人学習」の領域では、ズバリ、働き方に直結するテーマがキーワードとなった。「育自休暇」だ。育児休暇において、育児に加え、自分のスキルアップも同時に図ることが、女性活躍時代の新たな潮流になるということだ。

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育児が育自に“進化”すると予測する根岸氏

「このキーワードの背景にあるのは、出産年齢とキャリア転換期の重なりです。育休期間をブランクと感じていた女性が、復帰後を見越したブラッシュアップ期間と捉え、スキルアップを始めています。この傾向が強まり、今後、育休期間を次のキャリアへのステップボードにするスタイルが増えるでしょう」とこの領域を担当したケイコとマナブ編集長の根岸菜穂子氏は予測する。

実際に育休期間を育自休暇として事例として、31歳の情報サービス会社営業職の女性の宅建取得、33歳の情報サービス会社のコンサルティング職主任の女性がMBA取得にチャレンジしていることを紹介。2人とも、「ブランク」期間を「まとまった勉強のできる期間」と捉え、スキルアップを果たし、自信をもって職場復帰を果たしていることを報告した。加えて、こうしたことが可能になった背景として、社会の変化をベースに教育機関や企業、家庭など女性を取り巻く環境が変化していることを補足した。

新しい入試のカタチ「相互選択型入試」とは

最後に「進学」領域。ここは働き方とはやや遠い印象だが、社会に適応する人材育成の場という側面では実は重要な領域だ。掲げたキーワードは「相互選択型入試」。その意味は、大学がどのような人材育成するかのメッセージを送り、高校生は、そのメッセージを受け、自分に合った大学を主体的に選択するということ。つまり、偏差値で選ぶ入試から、大学の求める人材に対し、そこにマッチすると感じた学生が受験する入試へのシフトだ。

ポイントは「主体性」という言葉。単なる知識の詰め込み学習でなく、問題をいかに解決するか、できるか、を学ぶ場として大学が進化し、学生も主体性を育む場として大学を選択するということだ。このことは、大学生が、現状では企業を人気や知名度で選択していることとシンクロし、それが根底から変わることを意味する。それだけに、企業選びや働き方にも大きく関わる潮流といえる。

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小林氏は入試のカタチが一変することを予測した

この領域を解説したリクルート進学総研所長の小林浩氏は「相互選択型入試へ移行する背景には、大学の変化や高校生の課題意識もありますが、企業からの要請もあります。企業が選考に当たって重視するのは、コミュニケーション能力、主体性、チャレンジ精神がトップ3。急速なグローバル化、ユニバーサル化の進展により、企業の求める人材が変化しています。正解のない中で、主体的に取り組み、チャレンジできる人材が求められています」と実状を明かす。

領域はそれぞれだが、3つとも今後の働き方に深くかかわることが分かったと思う。この3つに共通するキーワードを挙げれば、「主体性」といえるだろう。多国籍の組織では、協調性とともに最も求められる要素の1つであり、育児というタイミングでスキルアップ図る上で最低限必要な資質であり、新たな大学選びそのものに求められる意識だからだ。

今後、社会はどんどんフラット化が進み、社内のヒエラルキーも平坦になり、会社間の壁もなくなっていく。企業と個人の壁さえもなくなっていく。そうした中で、必要とされるのは、主体的に物事に取り組み、問題解決できる人材だ。学生時代、アルバイト、育休期間。これまでは、どちらかといえば、受動的に過ごされがちだった時間が、これからは「主体性」を育む機会へとステージアップする。3つの点を線で結んでみえてくるのは、働き方が根底から変わるための土台つくりが、2016年以降、いよいよ進行し始め、新たな潮流へとつながっていくということだろう。

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