働き方

社会をよくする仕事とは? TWDW 2013

投稿日:2013年11月22日 / by

http://www.ashita-lab.jpTokyo Work Design Weekの二日目は「社会をよくする仕事をつくる」というのがテーマ。日本財団経営支援グループの町田則雄氏をホストとして迎え、株式会社Lalitpur代表:向田麻衣氏、NPO法人Teach For JAPAN代表:松田悠介氏、富士通株式会社:生川(なるかわ)慎二氏がスピーカーとして登壇した。

「今の時代はいい時代でしょうか?」この問いに対し、会場では多数の挙手者が現れた。会場に集まった参加者のアンテナの高さが伺える。実際同じ質問を学生に投げかけると、全く手が上がらないという。不安を感じている学生がそれほどまでに多いわけは、急速に変化する社会環境が関わってきている。

町井氏はいう。「今の時代は仕事が多様化していく中で、やりたいことができる恵まれている時代です。」そこに不安を感じているなんてもったいない。自分がやりたいことが仕事になり、価値を生むことは幸せなことではないだろうか。

21日の講演では、自分がやりたいと思ったことを着実に積み上げ、仕事にしてきた三名が、その働き方に対するマインドを全力で語ってくれた。

ネパールの現状について語る向田氏

17歳の時に初めてネパールに渡り現状を目の当たりにする

「世界一貧しい」と呼ばれる国に、
幸せの一瞬を

向田氏は、現在NPOでネパールに赴き、現地の女性に対してワークショップなどを行う傍ら、「ネパールの人たちに仕事を」というおもいで、ネパールの人たちの力を借りてLalipurという化粧品を作る会社を立ち上げた。

ネパールで起こっている社会問題というのは、日本では考えられないほど過酷である。失業率は40%を超えており、貧しい村ではいまだに人身売買が行われているという。その中で母国に運よく戻ってくることができた女性たちは、1年半の間シェルターという施設で、心の傷を癒しながら生活しているのだ。そこで向田氏は、女性たちに対して化粧のワークショップを行っている。

「心に傷を負った女性たちに対し、自分のために生きていいという気付きを与えたい」

向田氏は「貧しい人たちが真っ当に生きていくためには仕事が必要」と奔走し、現地で取れる材料と人の力を借りて、先進国向けに化粧品を製造し売り出す事業を始めた。今後はネパールの中でも人身売買の頻度が高い地域に、化粧品の工場を作りたいというミッションを語ってくれた。

日本の教育に提言をする松田氏

教員という職業に恩返しがしたいと語ってくれた

「本気で日本を変えたい」

学生時代にいじめの経験があり、一人の教師に助けられたという松田氏。そのときから教師に対しての憧れを持って突き進み、そのまま教員になったはいいが、教育現場の現状に失望した松田氏は渡米し、教育を見直そうと考えた。そんな時にTeach For AMERICAに出会ったのだ。

「教育の中で、子供たちが悪いということは一つも無い。悪いのは大人が責任を放棄することだ」

力強く語る松田氏。実際に自分が全力で向き合った子供たちとは今でも信頼関係が気付けている。

教育とは日本の根底となる事業。それなのに、このままダメになっていく教育現場に危機を感じ、米国に習いNPO法人としてTeach For JAPANを設立。年間に何人ものフェローと呼ばれる先生が問題や課題がある学級へ送り込まれる。

「全ての子供たちに対して、質が高い授業をしたい」これは日本国民全員が願うところだろう。

「自尊心が欠落した子供たちに対し、自分に対して期待してくれる人がいるということをわからせたい。教師をかっこいい仕事にしたい」松田氏の未来にはそんなビジョンが写っているという。

被災地支援や高齢者支援について語る生川氏

人と人とを一番繋ぐのは血縁だと語る

「日本の親孝行」

三人目は富士通株式会社にて、東日本大震災の支援活動や高齢者に対する生活支援を行っている生川氏が登場。生川氏は震災後、新聞を見てすぐに被災地を訪れ、現状を知った後にやれることを模索し支援活動を続けたという。

被災地で一番気になったのは、高齢者の存在とその多さ。この問題をどうにか解決したいと考えたときに、生川氏は高齢者用のクラウドサービスを思いついた。高齢者クラウドの商品化については、実際に親が高齢化している役員の賛同も得られ、トントン拍子に話は進んでいった。

「社会問題と向き合うにあたって一番大切なことは実践である。考えてから行動するより、行動しながら考えたほうができることは増える」

生川氏が行動を起こす際には、すぐさま企画を立て、資金を調達し、動き出すことを念頭に入れている。社会価値からマーケットを見つけ出し、そこにサービスを提供するというのだ。

社会をよくするとはどんなことか?

三人がそれぞれ、多様な社会問題について取り組んでいる。貧困国の問題も、教育問題も、高齢者問題も、どれも目を背けることができない問題である。しかし、一般の人はそこを注視することは難しいだろう。

社会問題に取り組むにあたって、民間の人々が第一線に立ち指揮している。そのことで、少しずつ解決する問題もあるのだという事実を見せ付けられた講演であった。

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