働き方

女性管理職30%目標の“断念”は妥当だが…【瓦の目】

投稿日:2015年12月4日 / by

政府が女性管理職3割の目標を事実上断念

政府が<指導的に地位に占める女性の割合を30%程度にする>という目標を事実上断念したという。一向に増えない女性管理職の現状を踏まえれば妥当な判断といえるだろう。代わって、より現実的な数値目標を掲げ、引き続き、女性活躍の推進は続けていくそうだ。ただし、この“ブレーキ”は、予想以上に強く、推進を制動することになりそうだ。

 bosswoman

「売り上げ至上主義の会社では、どんなにバリバリ働いていても気を抜けない。出産のことを考え始めると、とても仕事を続けていけるとは思えなくなる」。営業の要職に就き、部門をけん引した女性でさえ、こう漏らす。加えて「私が男だったらこうは思わない。バリバリ働くことは嫌いじゃないので」と出産により発生するブランクは、即“戦力外”を意味することを打ち明ける。

こうした状況を是正するために、2015年8月には「女性活躍推進法案」が成立した。だが、現実的には、“戦力”として考えれば、ブランクができ、急な欠席も増大するママ社員を引き上げることは、経営者にとってリスクだ。どうしても周囲には“優遇”措置にみえてしまうからだ。それを上回る圧倒的な実績を出し続けていれば話は別かもしれないが、そこまでのスーパーウーマンはそういない。

女性活躍推進の妙案はあるのか…

先の女性に、何かいい対策はないか聞いてみた。するとこんな答えが返ってきた。「若いときに戻れるなら、とにかく20代はひたすらバリバリ働いて実績を残します。それで堂々と育休を取れる状況になったら出産します」。自立した女性らしい、素晴らしい回答だ。しかし、この言葉には、制度や風土改革に頼る部分がみじんもない。まさに実力で、育休を勝ち取ってやるんだ、という気概があふれる。まるで、“環境整備”は余計なお世話といわんばかりだ。

残念ながら、私の周囲には少なくともここまでの強い意志を持った女性はいない。一生懸命、仕事に取り組み、結果を出している女性はたくさんいるにもかかわらず、だ。そうなると、制度や風土改革で環境を整備するのが、やはり万人向けにはベターということになる。だが、それはすでにこれまで何十年も試行錯誤されている。こうなったら、あまり「管理職だ」、と気合は入れず、女性が気ままに働き続けらる環境を臨機応変に整える方が、実は目標達成へは近道なのかもしれない…。最近はそんな風に強く感じる。

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