働くことを考えることがなぜ大切なのか【瓦の目】
働き方への関心が高まる意味とは
常日ごろ、「働き方」のことを考えている。仕事だから当然だ。11月17日に開幕した働き方の祭典、TOKYO WORK DESIGN WEEKは、「日ごろ、『働く』について考える場がないビジネスパーソンに機会を与える」目的でスタートした。今回が3回目。もはやすっかり、会場の渋谷ヒカリエで当たり前の光景になりつつあり、「働き方」を取り巻く環境の変化を実感する。
なぜ、働き方への関心が高まったのか。大きく動いたのは2011年の3月以降。震災により、何となく漂っていたモヤモヤが一気に露呈した形だ。一寸先は闇。誰もがその事実を体感した。流されるように働くことに違和感を覚え、やみくもに売り上げを追求することに疑問を感じ、いまのまま働き続けていいのか、と向き合い始めた。
明確な答えはない。あったとしても十人十色。働くを考えることは、もしかすると生涯つきまとうことなのかもしれない。それでも、考えることで確実に前進し、明るい未来がみえてくる。初日のオープニングで登壇したマクゴニガル姉妹の姉・ケリーはストレスについて「実は悪者ではない」と持論を展開した。素晴らしいものを手に入れる兆候。それが「ストレス」という。
職場につきものに「ストレス」が、いいものが手に入る兆候なら、嬉しくなる。やる気が出る。間違った思い込みからの解放はとても重要だ。ストレス症状が出れば「いいことの兆候だ」というマインドセットが出来れば、その負担は確実に軽減されるだろう。もちろん、理不尽な上司の指令は避けられない。それは受け止めるしかない。その代り、それをも好意的に受け止め、共感してしまうのだ。
どう思い込むかで大きく変わる働き方
2日目ではクリエイティブをテーマにしたセッションがあったが、そこではビジネスサイドでも創造的になれるし、逆にクリエティブでも実は地味という話があった。これも結局は「思い込み」がもたらす害悪ということになる。前向きに思い込めば、どんどんプラスに作用するが、ネガティブに考えるとどんどんマイナスに作用する。それが思い込みの怖いところだ。精神論でなく、あくまで、周囲に惑わされず、フラットなスタンスを忘れないということだ。わがままではなく、自分を基準に物事を判断する。誰にでも可能なハズだ。
その上で、いま、産業構造が大きく変化していることを認識する。なぜなら、従来の成功法則はもはや無意味になっているからだ。知らずに旧来の頑張り方でキバっても、報われルどころか疲弊するだけだ。自分の軸をしっかりと持ち、現状を正しく認識する。そうすれば、人間は、放っておいても何をすべきかがみえてくる。そういう生き物だ。まだ、多くの人がその状態になれずに悶々としてる。TWDWは、そうしたことの気づきの場として今後も続いていくだろう。瓦版もこの過渡期の中で、働く人の羅針盤になりたいと思っている。