
女性が輝く社会の実現が難しい理由
働く女性にとって、男性マネージャーの意識は、そのまま働きやすさと深く連動する。その意識が同じ方向を向いていれば、配慮の効果は高まるし、ズレていれば、ありがた迷惑となりかねない。サイボウズ(株)(本社:東京都文京区、代表取締役社長:青野慶久)が、働き方未来測プロジェクト「サイボウズ未来想研」の一環として、育児をしながら働く女性250人とマネジメント層の男性250人を対象にこのほど実施した「育児をしながら働く女性」をテーマにしたインターネットリサーチの結果は、女性が輝く社会の実現へ向け、興味深いものとなっている。
ママ社員はなぜ、育児をしながら働くのか。最も多かったのは、男女とも「家計に必要だから」(女性78.8%・男性76.0%)だった。これは当然といえるだろう。ところが、「自由なお金が欲しいから」では女性44%に対し、マネジメント男性24.8%。一方、「仕事にやりがいを感じているから」では、女性28%に対し、男性46%となった。このギャップは、働く女性と男性マネージャーの意識の違いを如実に表しているといえる。

育児をしながら働く理由(サイボウズ調べ)
つまり、女性は家計の足しに働くと同時に、自分の洋服やジュエリーを買ったりしたいとも思っている。一方、男性側は、まさかそんなことはなく、育児をしてまで働くんだからやりがいを感じているんだろう、と考えている。理屈で考える男性からすれば、到底理解しがたいところではあるが、だからこそ、働く女性と男性マネージャーの間に仕事に対する認識のズレのようなものが生じがちなのかもしれない。好きなものを買うお金を稼ぐ意識とやりがいがあって働くのでは、求めるものが全く変わってくるからだ。
では、育児をしながら働く女性は、なにに課題を感じているのだろうか。女性で多かったのは「子どもと過ごす時間が長い」(46%)、男性で多かったのは「保育園、病児保育等の施設不足」(40.8%)だった。それぞれ、男性は24.4%、女性20.8%で、20%以上の差があり、ギャップの大きさが目立っている。この結果からは、女性はあくまでこどもと過ごす時間を大事にしたいのであって、保育園に預けることは手段としてしか考えていないということが分かる。この辺りも制度を効果的に設計する上で重要なポイントとなりそうだ。

育児をしながら仕事を行う上での課題(サイボウズ調べ)
これに連動して、「現在の職場について取り組んでほしいと思うこと」では、票が集中したのが「柔軟な時間帯で勤務が可能な制度」となった。ただし、女性が58%に対し、男性73%で、男性が15.2%上回る結果となった。このことから、男性側がより、制度によって課題が解決すると考えている一方、女性はそれほどではないことが分かる。女性にとっては、制度はあっても使いにくく、一方男性側は、制度があるんだから、働きやすいだろうと、その実効性はともかく、あることに満足している側面がうかがえる。
また、自由回答による「こういう制度や環境があれば両立しやすい」という質問に対しては、女性では「中抜け」、「子どもを職場につれて来られる環境」、「半日仕事」と現実的なものが並んだ。一方、男性側では、「社内託児所」、「在宅勤務」、「男性育休」などがあがった。この項目では、比較的男女の一致度が高い結果となった。
さらに自由回答では、男性マネージャーにママ社員への悩みも聞いている。その回答は「両立困難による退職」、「時間のねん出がしづらい」、「大切な仕事を頼みづらい」などの声が多く挙がった。男性マネージャーにとっては、ママ社員は有能であってもいろいろな意味で扱いが難しく、悩ましい存在であることが分かる。
男女平等あっての女性が輝ける社会。だが、現実にはやはり、男女は違う“生き物”であり、完全一致を目指すには無理がある。大事なことは、そうしたことを認識した上で、互いの意識をしっかりと理解し合い、常に妥協点を見出しながらも、お互いのよさを最大化できることを基準にものごと進めることといえそうだ。