
量より質。令和時代を生き残る働き方の4つの視点
新時代をスマートに乗り切る働き方の実践ポイント
産業構造の変化で、働き方改革が不可避となり、時間の価値が変質した。長時間労働は生産性が低く、価値がない。いかに短時間で密度の濃い仕事をするか。そこが重要になりつつある。速さ以上に質が求められる、令和時代の働き方。4つの視点から、その実践ポイントを考察する。
【ムダを省く】
ダラダラを解消するために最初にすべきことは無駄を省くことだ。なんとなくメールチェックしたり、時間を決めずに作業に取り掛かる、同僚とのランダムな雑談…。これらは、実際の感覚以上に時間を浪費していることを自覚すべきだ。
解決策は至ってシンプル。時間を決めることだ。〇時はメールチェックの時間、■時は雑談タイム、資料作りは30分…。時間を決めることで集中力が高まるだけでなく、ダラダラと作業に取り掛かるクセを矯正できる。
テレワークの導入も大きな時間の節約になる。自宅で作業をするなら通勤時間を丸ごと浮かせられる。出先でコワーキングスペースを活用することで、帰社時間を節約できる。昨今はミニマムスペースが設置されている駅もあり、移動中のちょっとした空き時間を有効活用することも比較的容易だ。
【テクノロジーを活用する】
20年ほど前、PCが普及し、仕事は劇的に楽になったはずだ。ところが、いまだ業務に追われることが少なくないのはなぜだろう。比例して業務が複雑化し、量も膨大になっているからだ。こうした状況をクリアすにはやはりテクノロジーの力を活用することが有効となる。
ズバリ、RPAの活用が非常に有効といえる。RPAは、PC作業を録画するように覚え、再現してくれるイメージで、ルーティン作業を黙々と正確にこなしてくれる。メンテナンスの必要はあるものの、24時間365日無尽蔵に働き続け、文句ひとつ言わないのだから、パターン化された仕事はRPAに任せるのが賢明だ。時給換算すると100円という試算もあるほどで、これほどコスパのいい“労働力”はない。
その市場規模は、右肩上がりで伸び続け、2022年に800億円を超えるとも試算されている。PCとネットの普及が業務を大きく変革したように、今後は、ルーティンワークは死語になり、RPAがイコール、パターン化業務というワードして当たり前のように浸透する日もそう遠くないかもしれない。
【コンディショニング】
無駄を省いて、煩雑業務をロボットに任せれば、仕事の質は一気に高まってくる。だが、肝心のプレイヤーが不調では生産性は上がらない。出社していても、風邪や花粉症、寝不足、二日酔いなど、コンディション不良でパフォーマンスが低下している状態をプレゼンティズムというが、その損失はアメリカの試算では1500億ドルともいわれ、到底無視できない。
逆にいえば、しっかりとコンディショニングして仕事に臨むことが、生産性を高めることになるといえる。会社側ができる施策とすれば、昼寝を許容する、ヘルシーランチを提供する、オフィスを快適にするなどがあるだろう。
従業員個人の取り組みとしては、規則正しい生活を送る。運動を習慣化する。食事を気に掛けるなどがある。そこまでして、仕事のために努力したくない。そう思う人もいるかもしれない。だがその結果、人事では低評価され、発言権が弱まり、やりたくない仕事をやらされ、となったらどうだろう。それも踏まえてやりたくないなら自由だが、そのためにコンディショニングを疎かにするというのは、どうにも愚かではないだろうか。
【強制で標準化する】
どんなに優れた方向に向かうとしても、それを良しとしない人間は存在する。そうしたことも含め、意識を徹底させるには、組織として強制することが有効になる。決して褒められた施策ではないが、変革レベルで状況を変えるとなれば仕方がない側面もある。
残業が常態化していたある企業は、発想の転換で、残業しなかった場合に“残業代”を支払う制度を導入した。週休3日制を導入する企業などは、もはや強制的に労働時間を減らすことで時間意識を刷新しているといえるだろう。一切の規制を取り払うという“制度”を導入した企業もある。
働き方を変えるというのは、染みついた習慣をリセットし、リニューアルすることだ。染み込み具合が強いほど、その刷新は困難となる。だが、PCの古いバージョンがほとんど使い物にならないのと同様、仕事の仕方もアップデートしなければ、どんどんコスパが悪くなる。その先に待っているのは、リストラかAIに飲み込まれるか…。残念ながら明るい末路はない。やらない理由はどこにもない。